平成29年度成田市一般会計及び各予算議案に賛成討論

平成29年3月23日(木)
議席番号 18番 荒木 博でございます。私は、政友クラブを代表いたしまして、今回提出されました議案第32号の平成29年度成田市一般会計予算から、議案第40号までの各特別会計の予算案につきまして、賛成の立場で討論いたします。今年は、小泉市長としての3期目の折り返し地点を迎え、これからの成田を担う子どもたちが誇りを持てる、未来を見据えた施策に果敢に取り組んでいくとの所信を表明し、一般会計で608億円の来年度当初予算を編成されました。市長の施政方針のなかで、本市の未来を決定づける大きな転機として「高等教育機関の開学」、「卸売市場の再整備」、「成田空港の機能強化」の3つが挙げられましたが、まず「高等教育機関の開学」については、昨年4月に国際医療福祉大学 成田看護学部、成田保健医療学部が開学し、医学部についても、この4月に開学します。来年度予算では、医学部校舎の建設費に加え、附属病院の整備に要する経費が計上されていますが、事業の順調な進捗を期待しているところであります。大学の開学および附属病院の開設については、施設整備に係る経済効果、教職員や学生の流入に伴う消費効果、地域医療に対する 
貢献など、多くの波及効果が考えられるところであります。大学は、地域にとって、まちづくりを進める上での貴重な資源であり、重要なパートナーとなり得ます。まちづくりの課題に関する研究や教育、まちづくりを支える人材育成、社会人教育、都市の賑わいであり活力の源泉である学生の存在とそのエネルギー、留学生などとの国際交流の機会の提供、まちづくりと調和したキャンパスの形成など、大学は地域にとって多面的な存在価値があり、これらをまちづくりに活かすことにより、競争力の強化を目指す大学と自立・発展を目指す地域の双方が共に発展し、地域全体の活力が向上する相乗効果が発揮されます。このように、地域として大学のメリットを最大限に生かし、積極的な連帯強化の取り組みを期待するものであります。つぎに、「卸売市場の再整備」についてですが、少子高齢化に伴い、縮小傾向にある国内の農産物・水産物市場(しじょう)を鑑みれば、新たな市場の開拓が重要なのは明白であり、農産物、水産物および農水産加工産業が、海外に新たな市場を求め輸出促進に取り組むためには、輸出拠点の整備は欠かすことのできないものであります。本市は、成田空港を擁しているうえ、鉄道や道路といった公共交通ネットワークも充実しているなど、地理的メリットもあることから、卸売市場を輸出拠点とし、農林水産業が21世紀の戦略産業として成長できるよう、行政として積極的な政策推進を期待するものであります。続いて、「成田空港の機能強化」については、昨年9月末の四者協議会で、成田空港のさらなる機能強化策が提案されたところでありますが、それに伴う航空機発着回数の増加や、夜間の飛行騒音、落下物の危険など、騒音地域の市民にとって、生活環境への影響が懸念されているところです。しかしながら、厳しさを増す空港間競争の中で、来日観光客の増加に伴う航空需要を取り込み、日本の経済や社会を成長させ、ひいては周辺地域への活性化につなげるうえで、成田空港の機能強化は避けては通れない課題であります。来年度予算案には、これまでの騒音対策のほか、騒音地域におけるケーブルテレビ加入世帯に対する補助金も計上されるなど、行政として、騒音地域の住民の生活環境を向上させていきたいとの姿勢が感じられるものとなっており、騒音地域の住民との丁寧な対話を今後も引き続き継続していくことで、空港問題という難問に、解決の糸口を見出していただきたいと願うものであります。これらのほか、平成29年度からの新たな取り組みとして、児童福祉分野では、保育士の確保対策としての「なりた手当」を創設、教育分野では、大栄地区の小中一体型校舎について、仮称ではありますが、「大栄みらい学園」と学校名も決まり、小中連携教育を進めていく教育環境が、具体的な形として見えてきました。さらに、昨年度から2ヵ年かけて地域防災計画の策定に取り組むほか、災害時における行政組織としての優先業務や態勢をあらかじめ定めるために業務継続計画も策定するなど、市民の安全や安心に関する施策でも意欲的な取り組みが見られます。私たち政友クラブでは、平成29年度予算編成にあたり、会派として、総務や民生といった分野ごとに多くの提言をさせていただきました。特に「医科大学付属病院の建設と国家戦略特区への積極的な取り組み」、「第三滑走路の実現を含めた新たな展開に向けて、住民への丁寧な説明と騒音地域への十分な対策」、「農工商バランスの取れた産業振興」、「子育て支援策の充実、地域包括ケアシステムの早期確立と、健康長寿を目指した保健指導体制の構築」、「安心・安全で環境にやさしいスマートコミュニティの実現」の5つについては重点指針と位置づけ、積極的な取り組みを要望したものであります。これらについては新年度当初予算において実現されたものも数多く、十分な取り組みがなされるものと推察いたします。全般的に見まして、行政各分野におきまして、選択と集中を行ないながら、市民サービスの維持向上が図られ、メリハリのついた予算が編成されていると判断できることから、平成29年度当初予算案は、未来を見据えたまちづくりを推進していく予算案として相応しいものと評価いたします。ただし、地方公共団体が現在抱えている負債の大きさを、財政規模に対する割合で示す将来負担比率については、大規模事業の実施が重なった影響もあるかとは思いますが、近隣自治体と比較して高いように見受けられます。市債は、財源調達としての機能だけではなく、世代間の負担の公平を図る機能も有しており、住民が利用する公共施設整備の財源として、有効に活用すべきものでありますが、市債の借入に際しては、償還額とのバランスを考慮し、将来世代に過大な負担を残さぬよう留意し、引き続き効果的かつ効率的な財政運営とすべての市民が満足できる市政運営に努めていただくよう申し上げまして、賛成の討論といたします。